『鬼哭街』
このページにはこのエロゲーに関するネタバレがあります。
未プレイものは読まないようにしましょう。
2003.10.18
よく出来たエンターテイメントであって、それ以上ではない。
酸性雨や放棄された旧市街、マフィアに支配される都市、違法サイバーウェアなどは
80年代の古い未来像であり、90年代にさんざん消費されてきている。
未来予測としては「ハロワ」の方がはるかに出来がよい。
サイバーパンクのガジェットを利用しただけの作品としては、「重力が衰えるとき」や
「ハードワイヤード」の直系の子孫と言えるかもしれない。
物語の筋もありきたりだ。
分解された大切な人物のパーツ奪回といえば「キン肉マン」のミート君のエピソードが
容易に思い浮かぶ。
相対主義に陥って正義を見失うあたりは、日本のアニメやコミックの伝統そのものだ。
それこそ、鉄腕アトムの時代からアニメは正義を相対化させてきた。
しかし。
鬼哭街はそんな批判を跳ね飛ばすだけの強力な推進力を持っている。
具体的には、演出、音楽、文体といったところか。
あらすじはありきたりだと先ほど述べたが、これは黄金パターンをなぞっているとも言える。
物語の筋などにオリジナリティを求めるのが無意味っぽいのはプロップの昔話研究で
示されているようなものだ。
虚淵の資質がよく発揮された作品だ。