[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

ポジティブ的RPG批評の序文の試み
日本酒

 あらゆる批判は意味を成さない。何故なら、すべてのRPGは間違いなく傑作であるからだ。これを疑うなど夢にも思わない。如何に偏狭的なマニアに云われようが「ソードワールド」は最高であり、批評眼を持たない者にクズ呼ばわりされようが「ルーンクエスト90's」は逸品である。完璧でないRPGは存在しえない。

 かつて「『間違った批判』という名の妖怪」が同人誌や、或いはその他の伝統的なメディアにおいて盛り上がりを見せたことがあった。それは無意味な印象主義を中核としたもので、まともな言動ですらあり得なかったのではあるが、一部の反動的ロールプレイ主義者に大いに歓迎されたのである。無比判に受け入れられたそれは多くの完璧なコンセプトを持ったRPGを駆逐するに至った。自分勝手な楽しみのために多くの優秀なRPGを墓場に追いやったのである。「ワースブレイド」が結局コンベンションで受け入れられなかったのはこうした勢力の現れであるし、総合面で優れている「メタルヘッド」の新版の普及の遅れも目立った。とにかく「妖怪」は破壊の限りを尽くし、何もかもを不可視の世界に追いやったのである。

 我々の反省すべきことは、こうした中心の無い批判に耳を貸してしまったという点、こうした批判に幾らかの反論も行わなかった点にある。少しでも社会的想像力を働かせて視点を変化させられるならば、メディア的産物としてのRPG批判の記号性に気づき、その無用性を強烈に確信するに違いない。繰り広げられてきた批判に具体的な物証はなく、RPGシステムとはまったく関係のない形状やテキストの方式、あやふやなイメージ群を取り上げた。冒頭に戻ってしまうのだが、すべてのRPGは間違いなく傑作である。批判に対する批判の声を揚げることはごく簡単だったはずだ。しかし我々はそれを怠った。批判をそれ自身としてでも認識したこともなかった。

 ここに反動的現代人としての我々の弱点がある。我々はある分野において、条件的に、あるいは反射的に思考停止を起こしていまうのである。レッテルやジャンルといった暫定的区分は人々が思考停止を能動的に行おうと捏造した。それは「妖怪」である。もしかしたら我々は「妖怪」を必要としていたのかもしれない。事実、それは時代が実証してもいるのだ。

 RPG市場が崩壊してしまった現在に我々が行わなければならないのは、完璧でしかありえないRPGがどのように傑作であることかを検証していくことだ。エリオットの述べる伝統の素晴らしさ、ギブスンに垣間見るレトリック、ブレイクの幻視、ロートレアモンの核心的散文。文学は以上のような傑作を見いだした。それがRPGに出来ないはずがない。評判の高いRPGという革新的なものを取り戻さなければならない。そのことによってだけRPGは再び活気じみた噂を持ち、メディアに乗ることができるだろう。

back